うちの子大丈夫??子どもの絵の見方

自己表現の最初の段階(2〜4歳)

<なぐりがきから意味づけ

 

子どもが初めてクレヨンと出会ったとき、まずは紙の上にぶつけ初め、紙の上に生まれた点に気づき、その行動を楽しむようにどんどんと活動を広げていきます。

はじめはぎこちなく、だんだん点が伸びて線になり、線に動きが出てきてぐちゃぐちゃとしたなぐりがきに変化していきます。

自分の活動が線になって表現されていく過程に励まされるように、どんどん描く力をつけていくんです。

まだまだ自分の動きを制御できないので、この時期に「こうやって描きましょう」と言った指導はあまり意味がなく、むしろ発達段階以上の観念を押し付けると、後年の発達を阻害するとすら言われています。

なので、この時期は、この秩序立っていない活動をぜひ見守ってあげてくださいね。

<まるせん>

だんだんと自分の動きを制御できるようになると、丸や自由な線が生まれてきます。もちろん、このような絵が見られるようになるまでに、なぐりがきをたくさん経験することで生まれてくるので、大人が「丸だよ!丸!」というように、丸を描かせることはあまりおすすめできません。

ただ、なぐりがきをする中で、大人が丸を描いているところを見せることで、子どもが気づき、まねをすることはあります。

昔だったらたくさんの異年齢の子どもと過ごす中で、そういった刺激はあったと思うのですが、今はお家でお母さんと二人きり、や、自由に絵を描ける場所がなかったりすると思うので、お母さんが隣でグルグル丸を書いて見せたり、線を伸ばして楽しむ姿を見せてあげるのはとても良い刺激になると思います^^

<繰り返し>

小さな丸を何個も繰り返し描いたり、ジグザグ線をいっぱい描いたり。

そんな姿が見られるようになってくると、子供が自分の動きを制御できるようになってきた証です。たくさん繰り返していくことは、自信をつけていく過程です。そして、もっと複雑な形を描けるようになりたい、という意欲も湧いてくるんです。

そうした頃になると、大人が「こう描いてみよう」という指導が活きてきます。難しい言葉で言うと、動作の統合ができるようになってくる、ともいいます。

もちろん、そのためには十分ななぐりがきや繰り返しの経験が必要なのは言うまでもありません^^

<汚し>

せっかく上手に描けていたのに、真っ黒く塗りつぶしてしまう子がいます。そうした姿を見ると、大人は不安になるようです。

「精神的に何かあるのでしょうか?」

という気持ち、よくわかります。

多くの場合は「汚し」という行為で、誰にでも見られることだと思ってください。

子供は「絵を完成させる」という意識はあんまり持っていないので、次から次絵と上から絵を重ね書きしていきます。

結果的にぐちゃぐちゃになり、最後に「おしまい!ポイ」という感じでぐちゃぐちゃにしたり、どんどん色が混じっていく様子に夢中になるあまり、最後に黒くなってしまう事が多いんです。

園によっては、ぐちゃぐちゃになる前に切り上げてしまう事も多いですが、出来れば満足いくまでやり切らせて上げて欲しいなぁと私は思っています。

「黒は汚い色」という大人もいますが、「黒は綺麗」「黒はかっこいい」「黒は強い」といったイメージを子供が持っていることも多いです。泥水みたいになった色を見て「綺麗!虹が見える!」という子もいます。子供の感性の鋭さに驚かされます。

ただ、何ヶ月もそれが続くようであれば、ちょっと子どもとその周りの環境に目を配ってみても良いかもしれません。何かのストレスを発散している場合、もしろんそれはとても良いことなのですが、除いてあげられるストレス源が見つかって改善されればそれにこしたことはありません。

子どもが絵を黒く塗りつぶすとき、大人が清潔にしすぎている分、「汚したい!」という気持ちからこういった表現が出てくることがあるという話を聞いたことがあります。特に今は手洗いマスク、本当に日々大人は子供の健康のために清潔を心がけてくださってると思います。そして、今はそれで仕方ないです;;

大人も子どもも今はいっぱいいぱいです。

「汚しちゃいけない!」「きれいにしていなきゃいけない!」が、子どものプレッシャーになっていると気づいた時、ちょっとフォローできるかもしれません^^


長くなってしまいました!^^;

子供の絵の成長にとって、この時期の自由な描画は後年の発達にとってもとても大切な過程です。

大人の必要以上の介入によって

「描けない」「出来ない」

となってしまうと、取り返すのは結構労力がいるものです。なので、大人の方にはぜひ、今のその表現を一緒に楽しむ気持ちで、「あー!こんなこともできるようになったのね!!」と励ましてあげてほしいなぁと思います。

今日はここまで。また幼児期の続きから、学童期の絵について、お届けいたしますね!

 

アトリエるー 紀平佳代